こんなはずでは〜天の橋立強行軍

kakutouka2003-06-15

 土曜日から関西方面に来ている。本来の用事は日曜日1日の予定だけなので日帰り可能だったのであるが、どういうわけか気が付けば土曜の午後から京・都にいる。
土曜日の午前中の新幹線で京・都へ行き、そのまま三・井・寺という寺を観光。
夕方、三・井・寺から大・阪へ行き、夜はそのまま打ち合わせ(つまりは飲み会)。
日曜日は1日、所用。
この所用が夕方には終わると思っていたのが、大幅に伸びて終了したのが19時半。
それから、京・都へ移動。京・都のホテルに到着が22時。
所用が夕方へ終わって19時頃には京・都へいるつもりだったのに・・・・。そんで、京・都で一人ぶらぶら新京極へでも行ってお好み焼きとビールでも飲むか、誰かを強引に呼び出して銀閣寺方面でワインを飲むか、と思っていたのにすっかり予定が狂う。おまけに今回、京・都で泊まったホテル、烏丸御池のホテルは京・都のビジネス街にあるとかで日曜の夜は人の気配が無い。食事をする場所も無く、仕方なく近所のコンビニでカップ・ラーメンを買って食べるという寂しさ。(コンビニの馬鹿アルバイト、割り箸を付けてくれなかったもんだから、カップラーメンをスプーンで食べるという高度なテクニックが要求され、惨めさが増す)。この時点で既に企画倒れの前兆があったわけだ・・・・

今日は見事に朝7時に起床。素晴らしい。
何故、今回、この時期に一人で天の橋立へ行く事になったかはもはやどうでもいい気分。とにかく、行かなきゃいけないという使命があったのだ。
天の橋立に行くには、9時25分京・都発の列車に乗らねばならない。天気も悪そうなので密かに寝過ごして行けませんでした、ってオチにしようかと思ったがしっかり起きてしまった。こうなったら覚悟を決めて行くかと、チェックアウトを済ませホテルを出発。降水確率30%の筈なのに雨が降っている。もはやそんな事は関係ない。、
こんな梅雨時に天の橋立に行く物好きもいないだろうと、自由席の切符を買ってホームに行くと、結構人がいる。オイラはここで、人生を見つめ直す孤独な旅を演出したかったのだから、このおじちゃんおばちゃん軍団と同じ車両は困る。車掌さんに頼んで慌てて指定席に切り替えて貰う。
天の橋立迄の道中は約2時間。長旅である。予定では外の景色をぼんやりと眺め、訳ありげな一人旅=例によって高倉健のイメージで、物思いにふけりつつ、ガイドブックで観光コースを検討する筈だったが、結局、道半分近くを寝て過ごす・・・・。寝てるだけならわざわざ指定席に替える必要なかったなあ。

天の橋立駅に昼前に到着。取りあえず観光を始める。しかし、ここで重要な問題が発覚。
「天の橋立」って何だ?
電車の中で予習をするはずなのに居眠りをしてしまったオイラに予備知識はない。しかも、今日は平日なので、お得意の東・京へ応援電話=リモート操作観光もできない。厨房の頃に、一夜漬けで試験に臨もうとしたものの、深夜放送聴いてる間に寝てしまって絶望的な気分で朝を迎えてしまった時の事を思い出した。やばい。
とにかくガイドブック片手に歩き始める。駅前にはやたらと魚の干物が並んでる。きっと名産なのだろう。天の橋立らしき所に行くには橋を渡っていくらしい。オイラが橋を渡ろうとしたら、親父が橋にチェーンを掛けて通せんぼをするではないか。何が始まるのかと思って眺めていたら、チェーンの向こう側から、橋が割れて回転しだした。船を通すのに橋を分割、片側を回転させるらしい。格好いい!!しっかりガイドブックにも書いてあったのだが。まずい・・・

辺りを見回すと、思った程人がいない。若いカップルが数組、これはいいとして、他には不自然な、中年=初老手前の親父と年齢の釣り合わないちょっと化粧の濃い女性の組み合わせ。おい、親父、何でここに来るのにスーツ来てるんだよ、このエロ爺い。この組み合わせが3〜4組居たなあ。ここは不倫=カラ出張スポットなのだろうか?

橋を渡り、いよいよ天の橋立に上陸。ここから約4KM道が続いているらしい。おお、何という奇蹟的な眺め。やや興奮する。
興奮のまま歩き出す。100M位行ったところで、嫌な予感がし引き返す。景色が変わらない・・・・このまま4KM同じ景色が続くのではないか?見渡す限り松ばかりだ。時間に余裕があれば、もっと気分は違ったかもしれないが。この松がずーーと並んでる道を延々、往復2時間以上掛けて歩くのもかったるくなり、引き返して自転車を借りる。80分400円なり。80分で行って帰ってこれるのだろうか?
これからどういう展開になるのかと期待して自転車を走らせる。松に色んな名前が付けられている。「羽衣の松」「夫婦の松」「仲良しの松」。松の格好によって名前が付けられているようだ。
平成11年の1月にこの辺りに大雪があって、それで松が随分折れたそうだ・ところどころ松が有った場所に、その事を記した板が立っている。こんなぶっとい松を折る何てどんな雪だったのだろう。

少し行くと「井戸」がある。和泉式部の歌があって、長寿の泉となっている。取りあえず飲んでみるが名水なのかどうなのか解らなかった。(※海に囲まれた天の橋立にあって真水が湧く不思議な井戸「磯清水」日本名水百選に選ばれている=ガイドブックより)

薄暗い天気の中、松の間をひたすら自転車で走る。与謝蕪村やら芭蕉やらの歌碑があるはずだったが気が付かずに通り過ぎる。心に余裕の無いオイラはこの道の風情を味わう余裕もなく一気に天の橋立を走る。あっという間に終点に到着。天の橋立を疾走してしまったぜ。
やばい・・・・。オイラはここで圧倒的な感銘を受けて人生を見つめ直す予定なのだ。昨日の宿泊費と京・都からここまでの交通費やら何やら考えれば結構な金額が掛かっている。僅か10分のサイクリングで日本三大名所観光を終わらせてしまう訳にはいかない。第一、オイラはまだ股覗きをやっていないぞ。どこでやるんだろう???

再びガイドブックと格闘。どうやら、この終点からケーブルカーに乗って山の上へ行かなければならないようだ。天の橋立は歩く物ではなく、上から眺める物のようだ。ケーブルカー乗り場の方へ行くと、おお、土産物屋も有って、ご年配の方々の集団が沢山いらっしゃる。どうも人が少なくて変だと思ったんだよなあ・・・。

山頂まではケーブルカーとリフトで行ける。ケーブルカーで山頂へ。山頂からは、なんと、天の橋立が一望できるではないか、素晴らしい光景だ、天気が良ければ、きっと。
この曇り空では今一盛り上がりに掛けるが、頑張って盛り上がる。すげーぜい、おりゃあ!。
山頂の駅前の広場(正確にはまだ、この先にお寺が有るらしいからここは山頂ではない)には土産物屋と100円入れて眺める双眼鏡と団体さんが記念撮影するためのお立ち台といたれりつくせり。3カ所位、「股覗きの台」っていうのも用意されている。ここで、かの有名な「股覗き」ってのをやれという事らしいが、誰もやっていない。
こんだけ人がいるのに、誰もやっていないってのも変だが、折角来たんだから挑戦。オイラがやったらまわりのおばちゃん達もやりだした。なんなんだろ?。股の間から逆さまに眺める天の橋立の姿は・・・・。
頭に血が上っただけだった。変だな?
大体、この体勢、結構きついぞ。年寄りが多いのに、こんな格好させてひっくり返っても知らねえぞ。まだ誰もひっくり返ってないんだろうけど。
このままでは済ませられないのでもう一度挑戦。今度はデジカメを持って逆さまの風景を写す。写真を撮る方に気を取られて、肉眼で景色を見るの忘れる。股の間から写真撮るのって意味があるのだろうか?カメラ逆さまにして取れば同じだったのかも・・・・。

団体さん御一行が現れ、ガイドのおばちゃんが股覗きの説明を始めるので盗み聞きする。そうか、松の影に目の焦点を合わせると景色が浮き上がってくる、事もあるらしい。浮き上がって来ない人は想像力で補って盛り上がれという指示。流石、ガイドさん、説明が素敵だぜ。体の硬い人は脇の下から眺めてもちゃんと見えるとの事なのでやってみるが、脇の下が臭かっただけだった。
きっと天気が良ければ素晴らしいんだろと強引に納得。次回へ持ち越し案件という事で終了。

リフトで下まで降りて、天の橋立を自転車で帰っていく。今度は与謝蕪村の歌碑もあった。何故、大砲「アームストロング砲」がこの天の橋立ここに飾られてあるのか不思議に思いつつ、自転車を走らせる。
回旋橋のところで自転車を返却。所用時間2時間。
天の橋立には5時か6時迄いるつもりだったのに、まだ2時だ。困った。まだ他にも見るところはありそうなのだが、雨が降ってきたのと、流石に日本有数の観光地、ただ歩いてるだけなのに土産物屋にお金を吸い取られていく恐怖に退却を決定。恐ろしや恐ろしや。
駅前の天の橋立温泉でひとっ風呂浴びて(入浴時間20分で1000円掛かった、、、高い)3時の電車で京・都へ戻る。5時に京・都駅へ到着して、予定を早めてそのまま東・京へ。

おかしい、オイラは確かに日本三景の一つ、天の橋立を制覇したはずなのに・・・・
敗因
1.天気が悪い。景色を眺める所に梅雨時に行く奴が悪い
2.予習が足りません。まあ、いつもの事ですが。
3.スケジュールが強引すぎる。まあ、これもいつもの事なんですが・・。
4.高倉健を意識しすぎる。健さんをイメージして旅行くから破綻するんだな・・・。お笑い路線に変更しようかな?

かくして、日本三景の一つへの一人旅は盛り上がる事もなく終了したのでありました。

写真<http://yapeus.com/users/kakutouka/