さまよえるオランダ人

午後、仕事で池・袋に行く。地方回りがここの所多かったから都会での営業なんて久しぶりだ。
地・下・鉄を乗り継いで池・袋へ。地下街で迷子になる。何度行ってもここの地下街はよくわからないが。幸いな事に今日行く所は東・京・芸術劇場の近くらしい。東・京・芸術劇場なら何度か行っているから大体わかる。
客との待ち合わせは1時。11時半に駅に到着し、昼飯をゆっくり食べて12時45分には客のビル(自社ビル!!)の前に着いていた。はずだった・・・。しかし、この自社ビル、看板がない。普通、自社ビルならでっかく「○△□株式会社」とかなんとか書いてあるのだが・・・・。でも、雑居ビルという雰囲気でもない。オイラはそこがお客のビルに間違いないと確信して、でも押し売りか変質者と間違えられないように少し離れた場所で1時になるのを待った。少しして、ふいに不安になり念の為にと思いもう一度住所を確認する。

お客の住所は「南・池・袋○丁目」。オイラがいたのは「西・池・袋○丁目」・・・・・。

焦る・・・・。西と南を間違えたのだ・・・・・・。手元に地図はない・・・。あるのはインターネットで調べたこのあたりの周辺地図の紙っきれ1枚。その地図には南・池・袋は載っていない・・・・南・池・袋○丁目ってどこだ?

大体、何でこんな似たような町名ばっかりつけるんだよ。西だの東だの南だのよ、わかりづらいじゃないかと文句を言っても始まらない。待ち合わせの時間まで後5分。

これが何度か行ってる客だったら電話一本入れれば何とかなる。初めて行く客だ。しかも現地で部長と合流して訪問する事になっていたのだ。取りあえず部長に電話を入れて遅れる旨伝える。
近くのコンビニに行き、地図を見る。大して離れてはいないが歩いて行ける距離ではない。タクシーを拾い飛び乗る。5分もあれば着くような距離だ。まあ、5分遅れなら何とかなるかと一安心。しかし、、、。その時通りかかったタクシーはT京無線のタクシーだった。
オイラはT京無線という緑色のタクシーが大っ嫌いだ。とにかくこのタクシーはサービスが悪いし、運転も下手だ。乗車拒否をしてる所も見た事がある。自分で車運転してる時、ここのタクシーのせいで何度冷っとしたことか。タクシーを選べる状況であれば絶対にこの会社のタクシーには乗らないことにしている。

1,2年前、埼・玉・県の川・口市というところで、駅前からタクシー(T京無線ではないが)に乗った。行き先の住所を告げるとその運転手は住所からじゃ目的地には行けないと言ってきた。道を指示するか、目印を言ってくれないと場所がわからないと。住所がわかってるんだからそれで行けるだろうと言っても、その運転手は無理だと言い放った。オイラは不愉快になりタクシーを降りた。タクシー乗り場の他のタクシーでも同じ反応。奴らの捨てぜりふは「俺たちは郵便配達じゃないんだから住所なんて言われたもわからないんだよ」。呆れかえった。奴らにはサービス業を行っている自覚、プロ意識が無いのだ。無線か携帯で本社に調べて貰えばいいじゃないか。タクシーなら地図くらい積んでいるだろ。地図見て調べればいいじゃないか。それとも地図が読めないのか?不愉快になってもしょうがないので以降、埼・玉・県でタクシーに乗る時は注意する事にしている。

緊迫した事態なので仕方無くT京無線のタクシーに乗り込む。住所を告げる。埼・玉での不安が蘇るが、初老の運転手は落ち着いて地図を見て場所を確認し走り出した。一安心と思い、再度、部長へ電話を入れる。

ところが・・・。この南・池・袋って街は道が狭い。大通りから中に入ると一方通行だらけ。目的地の南・池・袋○丁目には到着しているのに目的地にたどり着けない。近い番地まで来ても、いつのまにかその番地を行きすぎ、行きすぎると今度は一方通行だから後戻りはできないでどんどん離れていく。運転手はぶつくさいいながら走る。気が付けば、○丁目から△丁目に変わっている。グルグルさまよい振り出しの大通りに戻る。運ちゃんよ〜、地図見たんだろう!!、と怒鳴りたくなるがこらえる。しばらくさまよった後、運ちゃんがやっとの事でもう一度地図を見た。今度こそこれで大丈夫かと思ったら、今度は雑・司・ヶ・谷という隣町に着いていた・・・。運ちゃんはオイラが急いでいるというのを全く気づいてないのか、無視してるのか、平然とグルグル路地をさまよう。近い番地に近づいても、この辺かなあと言いながら、停まらずに走り、またどんどん離れていく。この野郎、地図見て確認しろよ、と再びブチ切れそうになるが、元々は南と西を間違えた自分が悪いし、今ここでタクシーを飛び降りたら目的地にはたどり着けないのでぐっと我慢してこらえる。

そのうち運ちゃんが、「お客さんところ電話して行き方聞いてくれませんかねえ」と言ってくる。呆れつつもオイラは仕方無しに客に電話する。お客の会社の事務の女の子が愛想良く熱心に道を教えてくれようとした。しかし、ここで重大なミスがあった。オイラは今自分がどこにいるんだか全く解っていない・・・・。車の後ろの席に座ってて、しかも運転手が散々路地を走ってるのだから、今、どっちの方角向いてるんだか何もわからない。現在地が解らない人間が道を電話で聞いても聞かれた方が困るだろう。近くにコンビニがありますって、コンビニ何てこのあたりじゃ無数にあって目印にもならない。他に何がありますか?ッテ聞いてくるけど都会の真ん中ではビルばっかりですとしか答えられない。全く何でオイラが電話したんだろう?場所がわからない場合、地方のタクシーでは運転手が自分の携帯で目的地のお客さんのとこに電話して行き先を聞くという事はたまにあるのだが・・・・。

運転手のおっさんは今何が起こっているのか全然気にとめない様子。彼がもう一度落ち着いて地図を見て行き方を確認してくれればと思うが、彼には地図を見る意志は無いようだった。そして「時間大丈夫ですか?」と聞いてきた。だから急いでるっていってるだろうっての・・・・。再びブチ切れそうになるが、こらえる。

再び大通りに出たところで地図をようやく見てくれた。そしておもむろに運転手は走り出した。そして少し走って停まった。ようやく目的地に到着したのだ、いとも簡単に。その場所は大通りに面していて、オイラがタクシーを乗った場所から大通り同士の交差点をたった一回右折して300m位行った、とってもとってもわかりやすい場所だった。
もし道が解っていれば2、3分で着いただろう。20分も掛かった・・・・。運ちゃんは途中でメーターを止めていたから初乗り料金で済んだが、そんな事はどうでもいい。そんな事より何故彼はあの狭い路地に突入したんだろう??
運ちゃんは「タクシーに積んである地図ってのはおおまかでわかりにくいんですよ」と言い訳してきた。一体どんな地図を積んでるだろうとしばきたくなったが我慢する。2度とT京無線のタクシーには乗るまいと心に誓った。そしてタクシーの運転手をプロと思ってはいけないと言う事も(不況のせいで仕方なくタクシーの運転手やってる人が多いから、運転下手、道知らない、接客悪いってのはしょうがないんだけどね・・・・。嫌な思いしたくなかったら三つ星個人タクシーに乗るか、業績の良いタクシー会社の車に乗る事だね)。