いざ、高野山へ

出張2日目。

今日はお客の店を5カ所周り、商品説明。
紀ノ川に沿って、宿泊地の岩出から桃山、打田、高野口、橋本と回る。説明自体は30分前後で済むのだが移動の時間やらを考えると、終了時刻は余裕見て16時。仕事終了後は橋本駅から大 阪に戻り、お好み焼きを食べて、それから新幹線に乗って東 京へ帰るというのが今日のスケジュール。

しかし、だ・・・・。
このまま仕事だけして帰る何ていうのはオイラのプライドが許さない・・・。そんな事なら誰でもできる。第一、このまま帰っては和歌山に失礼だ。和歌山ラーメンすら食べていないオイラはこのままでは和歌山に敗れ去った事になる。そんな事は許されない。
そう、たまたま朝6時に目覚めたオイラは急遽、朝のシャワーを浴びながら、突発的に今日の仕事は全て120%速く完了させる、と誓ったのだ。

大体、仕事なんて終わりが決まってればその時間には終わらせられるものさ。いや、そうはならない場合もある。でも、そうなる場合もあるのだ。終わらなきゃ仕方ないが、終わったらラッキーではないか。
とにかくオイラとしては珍しく朝から真面目に仕事をしたのだ。4時に終わる予定の仕事を2時40分に終わらせる為に。

断っておくが、仕事を手抜きしたわけではない。スーパーテクニックを使ったのだ。人の良い、和歌山の人たちだからできた技と言えよう。ユーザーの店から次の店への移動を、お客さんに車で送ってもらう事にしたのだ。極めて遠回しに、頼み込む。人の良い紀州のみなさんは快く車を出してくれた。当初の予定ではこの移動はタクシーで行うつもりだった。しかし、タクシーは電話して来て貰うまでに時間がかかる。その時間をお客さんに送ってもらう事で解消したのだ。勿論、昼休みなんかは無し。昼食は素敵な昔ながらの駄菓子屋さんでゲットしたレーズンパン2個。既に、このあたり一体にわざわざ食べるべき名産物は無い事は確認済みだからレーズンパンでもいいのだ。

かくして奇跡的に仕事が2時40分に終わったのだ・・・。
何故、2時40分なのか?
それは高野山に行くためだ!!高野山に麓の橋本という所から行くためには3時の列車に乗らねばならない。南海電車極楽橋行きだ。「極楽橋」何て、素晴らしい響きだ。自然と気持ちは盛り上がってくるぜ。ところで高野山って何だ??

まずは橋本駅の旅行案内所で情報収集。案内所のおばちゃんによると今日は高野山で6時からオカリナの演奏会があるから絶対聞いて行きなさいという。なぜ高野山でオカリナなんだ??
しかし、おばちゃん、オイラは今日中に東 京に帰らなきゃ行けないんだ。オカリナを聞いてる時間は残念ながら無い。とにかく、高野山の資料を貰う。そうか、ここは空海さんが開いたのか。

極楽坂行きの列車は山の中に突入した。山の上に寺がある、いい感じだ。しかし、山はどんどん木が深くなって行く。完全な森だ。この山の上に寺があるのか?
橋本駅から約30分で極楽坂駅へ到着。さあ、観光するか、と思うが誰もいない。駅員がケーブルカーに乗れという。
ケーブルカーで極楽坂駅から高野山駅へ行かねばならないらしい。高野山駅までは5分程。極楽坂駅には出口らしい出口がない。つまりケーブルカーに乗らないという選択肢は存在しないのだ。事前に何も調査していなかったので何となく納得できない。この駅のすぐ近くに寺があるはずなのに、なんでわざわざ上まで上らねばならないのだろう。
取りあえず言われるままにケーブルカーに乗る。思いっきり列車が傾いており(45度位傾斜があるんではないか?)車内を少し歩いただけで平衡感覚がおかしくなりこける。

5分ほどで高野山駅に到着する。何もない。おかしい。オイラのイメージではここにはおみやげ物やが並んでいる筈なのに、何もない。バスが10台くらい停まってる。よく解らないまま「奥の院」行きのバスに乗り込む。
バスは山道をとろとろと下り始めた。下る位なら最初っから上らなきゃいいじゃねえかと思う。山道をグルグル回りながらバスは走る。途中「熊出没注意」の標識を発見。頭の中で熊とどうやって闘うかシュミレーションしているとふいに寺が現れたのだ。街に突入したのだ。
そう、普通の街が現れたのだ。もしアイマスクをしてここまで連れてこられたらここが山のてっぺんだとは思わないだろう。そう、山の麓から途中が全くの森で何も無くて、急にここだけ街なのだ!!しかも、整然と寺やらが建っていてゴミゴミしていない。バスから見る限りキチンと区画整理されている、整然とした街なのだ。
オイラの住んでいる東 京の様に、みんな好き勝手に建物建てて出来上がった街ではない。人工的に整備された雰囲気の街だ。しばらく呆然・・・・。
こんな広い所だとは思ってもいなかったし・・・。歩いて一回りすれば見て回れると地図見て思っていたのだが、これだけの量を真面目に見ようと思ったら2日は必要だ。2時間しか猶予の時間は無いというのに、と途方に暮れる。
取りあえず、観光局で「奥の院」は必ず見る様に言われたのでそこに行く。
バスを終点で降りて(駅から20分もバスに乗った)、すぐ奥の院の入り口。中に入る。
しかし、、、、お墓しかない。何だ、ここは?前方を3人、人が歩いていたので観光客だと思ってついて行ったら途中で曲がって行ってしまった。本当のお墓参りの人達だった。
広大なお墓の中を歩くが建物らしき物はない・・・。間違えたか?焦る。周りを見れば、有名企業の社員のお墓とか白アリの墓もある。混乱はピークに達する。幸い携帯電話は使えたので東 京へSOSの電話を入れる。Rinkoにインターネットで奥の院を調べて貰い、携帯電話で話をしながら更に進む。途中、お寺の人が歩いていたので道を尋ねる。まだ、奥の院には到着していない、奥の院はもっと奥にあるとの事。更に暫く進むと「奥の院→」という標識があった。
その標識の指す方向は林の中。相変わらずお墓が続く。右手から女性のうめき声が聞こえる。その方向を見ると、祈祷をしている。現役バリバリの墓地らしい。
右手に何の前触れも無しに「浅野内匠頭」の墓ってのがあり、その隣に四十七士のお墓がある。浅野内匠頭のお墓って東 京の泉岳寺じゃなかったっけ?
更に進むと、変な男がカメラ抱えて立っている。プロのカメラマンのようだ。奥の院らしき所に到着。奥の院は写真撮影禁止らしい。建物のの外側も撮っちゃいけないのだろうか?勝手に写真を撮って、空海さんに怒られても嫌なので写真は諦める。奥の院に到着した時点で到着から1時間を既に経過している。2時間しか滞在できないのに半分の時間が過ぎてしまったのだ。と言う事は、奥の院を見たら今日中に東 京に帰れなくなるって事だ。奥の院を目の前にして引き返す。こんな事なら明日有休取っておけば良かった。
来た道を引き返していると、ガイドさんに連れられた団体さんがいた。途中の誰かのお墓の前でガイドさんが説明している。家康の次男の秀康という人のお墓らしい。信康と秀忠の間にきっとそういう人がいたんだろう。ガイドさんの説明によると、これはお墓ではない。遺骨は入って無くて遺灰があるらしい。何だかよく解らないけど、そうなんでしょう。秀康さんのお墓の近くに豊臣秀吉のお墓ってのもあった。秀吉のお墓って家康が壊しちゃったんじゃなかったっけ?

うーむ、歴史を知らないなあ・・・・。みんな今年の大河ドラマ「MUSASHI」が破滅的につまらないからいけないんだな。平均的日 本 人はNHKの大河ドラマで日 本 史を勉強するってのに、あんなしょうもないドラマ作りやがって。
とりあえず来た道を急いで引き返す。何しに来たんだろう??場所とちょっとだけ雰囲気を確認できたから良しとするか・・・・。これは改めて、ちゃんと予習をして作戦と計画を立てて見に来なければならない場所である事が解った。
よし、予習と作戦はRinkoに任せよう。うん、どうせオイラは機動部隊だし。
そうだ、この際だから「ツァー」でも企画するかな?

空海入山1200年記念特別企画 高野山で格闘家と熊退治」

誰も来ないか・・・