ちびったぜ

それは今日の昼休みに起こった。
オイラは一人寂しく、立ち食いそば屋で昼食を済ませた。わずか数分で昼食を済ませ残り50分を有意義に休むのがオイラの内勤の時の昼休みさ。混んでる、まずい、高いの定食屋などに、まして上司となんか一緒には絶対に食いに行かない。上司には、格闘家だから食い物も選ばなきゃいけないと訳の分からない理由を押し通して、一緒に飯を食いに行った事はないのだ。まあ、そんな事はどうでもいいのだが。

昼食を済ませ、とある雑居ビルで休憩するオイラ。まあ、図書館みたいなとこだと思っておくんねえ。そこでオイラは座って、ウトウトしたり雑誌を読んだりして昼休みを過ごす事が多く、今日もそうしていたのだ。
そろそろ昼休みも終わり近くになったので、会社に戻る前に小用を済まそうとトイレによったのだ。
そこのトイレは利用者の割には小さなトイレで、小便器は3つしかない。オイラが便所の中に入ると中に一人、若い男がいた。そいつもこれから小用をするところだった。オイラのすぐ後に、一人親父がトイレの中に入ってきた。自然と、3つしかない小便器に男が3人、連れション状態となったのだ。別にそんな事は珍しい事でもなんでもない。よくある事だ。

オイラは別に気にもせず小便を開始すべく準備を始めた。オイラの右隣で、オイラと同時に小便をし始めた若い男、年の頃なら20代半ばだろうか、少しおとなしめというか、陰気な感じの奴だった。
その若い男が何かぶつくさ言っている。んっ?ひょっとしてオイラに何か文句があるのか?オイラに喧嘩売ってるの?え、いい度胸じゃん、でも、オイラ何か怒らせる様な事したかな?と思い、その男のぶつくさぶつくさに耳を傾けた。
「ナンミョウホウレンゲーキョー・・・・・」その若造、小便をしながらお経唱えてる・・・・。小声ではっきりとは聞き取れないけど、あれは間違い無くお経だ。信心深いのは結構だが、何で小便しながらお経を唱えなければならんのか?
オイラはその予想もしていなかった展開に恐怖を感じ、つい小便をちびってしまったが、幸いにして一物が便器に向かっていたので事なきを得たのであった。